SNSの嘘ニュース発信で問われる法的責任とリスクを完全解説

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SNSで嘘ニュースを発信すると、刑事罰や民事上の損害賠償といった具体的な法的責任を問われます。名誉毀損罪、侮辱罪、偽計業務妨害罪、信用毀損罪などが適用対象となり、最大で3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

スマートフォンとSNSの普及によって、誰でも瞬時に情報を発信できる時代となりました。X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebook、LINEなど多様なプラットフォームが日常生活に浸透した一方で、嘘ニュースやフェイク情報の拡散が深刻な社会問題となっています。

「軽い気持ちで投稿しただけ」「みんなが拡散しているから自分も」といった安易な行動が、刑事事件としての逮捕や高額な損害賠償につながった事例も報告されています。匿名アカウントであっても発信者情報開示請求によって特定される仕組みが整備されており、「ばれないだろう」という認識は通用しなくなっています。本記事では、SNSで嘘ニュースを発信した場合の法的責任、関連する法律と罰則、実際の摘発事例、そして自分の身を守るための具体的な対策まで、2026年6月時点の最新情報をもとに詳しく解説します。

目次

SNSで嘘ニュースを発信するとどのような法的責任を問われるのか

SNSで嘘ニュースを発信した場合に問われる責任は、大きく分けて刑事責任と民事責任の二つです。刑事責任は国家による処罰として懲役や罰金が科され、民事責任は被害者に対する損害賠償の支払い義務として発生します。両方を同時に問われるケースも珍しくなく、一度の投稿で人生を大きく狂わせるリスクを伴います。

嘘ニュース・フェイクニュースとは何か

フェイクニュースとは、事実ではない情報や事実を歪めた情報を「ニュース」の形式で発信・拡散するものを指します。SNSの文脈におけるフェイクニュースには、いくつかの類型があります。

完全な虚偽情報は、事実無根の内容を意図的に作り出して発信するもので、「特定の食品に異物が混入していた」「特定企業が不正を行った」といった根拠のない情報がこれに当たります。誤情報は、発信者が意図的でなくても事実と異なる情報を広めてしまうケースで、古い情報を最新情報として拡散するパターンが代表的です。操作された情報は、事実に基づく情報であっても文脈や一部分を切り取ることで全く異なる意味合いを持たせるものです。

近年特に問題視されているのがディープフェイクです。AIを用いて本物そっくりの偽の動画や音声を生成し、特定の人物が実際には言っていない発言をしているように見せかける技術で、2026年現在では一般人でも比較的簡単に作成できる環境になっています。

フェイクニュース問題の現状と統計データ

総務省の情報通信白書(令和6年版)によると、インターネット上での偽・誤情報の流通・拡散は依然として高止まりの状態にあります。特に選挙や災害時に偽情報が大量に拡散するケースが報告されており、社会的な問題として深刻化しました。

2024年、インターネットを利用した侮辱罪の認知件数は225件、検挙件数は100件と、いずれも過去最多を記録しました。警察庁の令和6年統計では、名誉毀損罪と侮辱罪を合わせて487件が検挙されており、摘発件数は年々増加傾向にあります。

フェイクニュースが拡散する背景には、「バズるほど儲かる」という構造的問題も存在します。SNSプラットフォームのアルゴリズムは、エンゲージメント(いいね、リツイート、コメントなど)が多い投稿を優先的に表示する設計となっており、センセーショナルな嘘の情報ほど注目を集めやすい側面があります。実際に、フェイクニュースを拡散するアカウントが広告収益を得るケースが報告されており、これに歯止めをかけようとする署名活動なども起きました。

SNSで嘘ニュースを発信した際の刑事責任

SNSに虚偽情報を投稿・拡散した場合、複数の刑事罰の対象となります。「面白そうだから」「みんなが信じているから」という軽い気持ちで嘘の情報を発信しても、犯罪として逮捕・起訴されるリスクがあることを認識しておく必要があります。

名誉毀損罪の成立要件と罰則

名誉毀損罪は刑法第230条に規定されており、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金に処する」と定められています。

特に重要なのが「事実の有無にかかわらず」という点です。発信した情報が真実であっても虚偽であっても、名誉毀損罪が成立する可能性があります。ただし、虚偽の情報の場合は違法性阻却(罰せられない理由)が認められにくくなる傾向にあります。

成立要件としては、まず「公然と」発信されている必要があり、不特定または多数の人が認識できる状態に置くことを意味します。SNSへの投稿は基本的にこの要件を満たすと解されています。次に「事実を摘示し」とは、具体的な事実を示すことを指し、「人の名誉を毀損した」とは、その人の社会的評価を低下させることを意味します。

相手が特定できれば実名がなくても成立する点にも注意が必要です。SNSのアカウント名や特徴的な情報などから個人が特定できる場合、匿名での投稿でも名誉毀損罪に問われます。

侮辱罪と2022年の厳罰化

侮辱罪は刑法第231条に規定されており、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者」が罰せられます。名誉毀損罪と異なり、具体的な事実の摘示がなくても、単に相手を罵倒・侮辱するだけで成立する点に特徴があります。

2022年6月に刑法が改正され、侮辱罪の法定刑が大幅に厳しくなりました。改正前は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」という非常に軽い罰則でしたが、改正後は「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料」となっています。

さらに公訴時効が1年から3年に延長されたことも重要な変更点です。これにより、過去に書き込まれた侮辱的な投稿についても、長期間にわたって法的措置を取れるようになりました。

この改正は、女子プロレスラーの木村花さんが2020年にSNSでの誹謗中傷を受けて亡くなった事件をきっかけに、ネット上の誹謗中傷を抑止するために行われました。厳罰化後、侮辱罪での摘発件数は増加しており、2025年には厳罰化後の適用が100人超えとなったことが報道されています。

偽計業務妨害罪と信用毀損罪の違い

フェイクニュースに特有の犯罪類型として、偽計業務妨害罪と信用毀損罪があります。どちらも刑法第233条に規定されており、罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

信用毀損罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人や企業の信用(特に経済的な側面での社会的評価)を毀損した際に成立します。「特定のレストランで食中毒が出た」「特定の会社は倒産寸前だ」といった虚偽情報をSNSで拡散した場合に問われる可能性が高い罪です。

偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の業務を妨害した際に成立します。信用毀損罪が「社会的評価の低下」に着目しているのに対し、偽計業務妨害罪は「業務の妨害」に着目している点が異なります。

これらの罪は、特定の個人だけでなく企業や団体に対する虚偽情報の発信にも適用されます。名誉毀損罪と異なり「親告罪」ではないため、検察が独自に起訴可能であり、被害者の告訴がなくても捜査・起訴される可能性があります。

威力業務妨害罪とその他の罪名

虚偽情報の発信によって組織に大量の問い合わせや抗議が殺到するような事態に発展した場合、威力業務妨害罪(刑法第234条)に問われることもあります。罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

状況によっては、著作権法違反(他人の著作物を無断使用した場合)、個人情報保護法違反(個人情報を無断で拡散した場合)、不正競争防止法違反(営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・流布した場合)なども問題となります。一つの投稿が複数の罪に該当することも珍しくありません。

SNSの嘘ニュース発信による民事責任と慰謝料の相場

刑事罰とは別に、民事上の損害賠償責任も生じます。民法709条は不法行為による損害賠償を定めており、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。

民事責任は、被害者からの請求に基づいて発生し、慰謝料や経済的損害の賠償として支払いが命じられます。刑事事件として処罰された後に、別途民事訴訟を起こされるケースも多く、二重の負担となる点に注意が必要です。

一般人が被害者の場合の慰謝料

SNSでの名誉毀損や偽情報発信による慰謝料の相場は、被害者の属性や被害の深刻さによって大きく異なります。

一般人が被害者の場合、掲示板やSNSでの名誉毀損書き込みに対する慰謝料の相場は10万円から50万円程度とされています。ビジネス上の信用が大きく損なわれた場合や、精神的被害が著しい場合は、50万円から100万円程度まで上振れすることもあります。

賠償額には慰謝料だけでなく、弁護士費用や発信者特定にかかった調査費用なども含まれる場合があります。結果として、最初の請求額よりもはるかに大きな金銭的負担を抱えるケースが少なくありません。

有名人・企業が被害者の場合の慰謝料

有名人や芸能人が被害者の場合、社会的影響の大きさを反映して高額の慰謝料が認められるケースが多くなります。400万円、500万円、あるいは600万円以上の慰謝料支払いが命じられた判例も報告されています。

企業が被害者の場合、売上や株価への影響、取引先への悪影響など、経済的損害が具体的に算定できる場合は損害賠償額が非常に高額になる傾向があります。実際の経済的損失(逸失利益)に加えて、信用回復のための広告費なども損害として認められる場合があり、賠償額が数千万円規模に達するケースも存在します。

リツイート・拡散だけでも法的責任を問われるのか

「自分は情報を作ったわけではなく、リツイート(リポスト)しただけ」と考える人もいますが、拡散行為だけでも法的責任を問われる可能性があります。これはSNS利用者が最も誤解しやすいポイントの一つです。

SNSでの情報の拡散は、「公然と事実を摘示」する行為と同様と解されることがあります。他人が作成した虚偽情報をリツイートすることで、その情報を新たな人々に広める行為自体が、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性があるのです。

偽計業務妨害罪の観点からも、虚偽の情報を「虚偽だと知りながら」または「虚偽であることを容易に確認できたにもかかわらず」拡散した場合は、罰せられる可能性があります。情報の真偽を確かめずに拡散した「過失」も問題とされ得る点に注意が必要です。

2024年には、警察庁が災害時のSNSデマへの対策強化を発表し、「拡散しただけ」でも罪に問われる可能性があると明示的に注意喚起しています。「みんなが拡散しているから」「面白そうだから」という軽い気持ちでのリツイート・シェアも、情報の内容と状況によっては法的責任を負うことになります。

匿名アカウントでも特定される発信者情報開示請求の仕組み

「SNSは匿名で使っているから大丈夫」と思っている人もいますが、それは大きな誤解です。日本の法律では、発信者情報開示請求という仕組みにより、匿名の発信者の特定が可能となっています。

発信者情報開示請求は、現在の情報流通プラットフォーム対処法に基づくもので、被害者が裁判所を通じてSNSプラットフォームやプロバイダに対して、投稿者の個人情報(氏名・住所など)の開示を求めることができる制度です。

手続きの流れとしては、まずSNSプラットフォームに対して投稿者のIPアドレスなどの開示を求めます。次に、そのIPアドレスをもとにインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して契約者情報の開示を求めます。こうしたステップを経ることで、「どこに住んでいる誰が投稿したのか」が判明することになります。

2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、この手続きがさらに迅速化・簡略化されました。大規模プラットフォーム事業者は開示申請に7日以内に対応することが義務づけられており、被害者が迅速に発信者を特定できる環境が整備されています。

VPNを使っていても完全に匿名を保てる保証はなく、海外のSNSプラットフォームであっても、日本の裁判所からの開示請求には応じる必要があります。匿名性への過信は最大のリスクとなり得ます。

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)の概要

2025年4月1日、SNSをはじめとするプラットフォーム事業者への規制を強化する情報流通プラットフォーム対処法(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)が施行されました。この法律はかつてのプロバイダ責任制限法を改正・改称したもので、大幅に内容が強化されています。

大規模プラットフォーム事業者の義務

大規模プラットフォーム事業者に指定された事業者は、複数の義務を負うこととなりました。

削除申出への迅速対応として、権利侵害の疑いのある投稿について7日以内に申出者へ対応することが義務づけられました。削除運用の透明化として、削除基準を明確に定め、公表することが求められます。さらに、不開示が相当である旨の通知義務として、発信者情報を開示しない場合に申出者へ通知することが義務づけられました。

2025年4月の時点で、Google LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、TikTok Pte. Ltd.、X Corp.の5社が大規模特定電気通信役務提供者として指定されました。2025年5月には、ドワンゴ、Pinterest Europe Limited、サイバーエージェント、湘南西武ホームの4社も新たに指定されています。

罰則の強化と最新の動向

大規模プラットフォーム事業者が総務大臣の是正命令に違反した場合、最大1億円の罰金が科せられる規定が設けられました。これにより、プラットフォーム事業者が悪質な投稿への対応を怠った場合のペナルティが大幅に強化されています。

総務大臣がプラットフォーム事業者等に対して偽・誤情報対策の強化を要請するなど、特に選挙や政治に関わる偽情報への対応が強化されてきました。SNSで偽情報を拡散するアカウントの収益を停止する仕組みについても検討が進んでいます。

項目改正前(プロバイダ責任制限法)改正後(情プラ法)
削除対応期限明確な期限なし7日以内(大規模事業者)
削除基準各社任意公表義務化
違反時の罰則限定的最大1億円の罰金
発信者情報開示手続きが煩雑迅速化・簡略化

SNSで嘘ニュースを発信して実際に逮捕された事例

実際にSNSでの嘘ニュース・偽情報の発信によって逮捕・摘発された事例は、決して特殊なケースではなく、誰にでも起こり得る現実的なリスクです。

くら寿司への虚偽投稿事件

2016年、25歳の無職男性がFacebookに「無添くら寿司高松上天神店で食べた寿司に赤いガラス片が混入していた」という虚偽の内容を投稿し、名誉毀損の疑いで逮捕されました。この事件では、完全な虚偽情報の投稿が名誉毀損罪に問われており、企業に対する根拠のない誹謗が深刻な法的リスクを伴うことを示す代表例となっています。

熊本地震のライオン逃走デマ事件

2016年4月の熊本地震の直後、「動物園からライオンが逃げた」という虚偽情報がSNSに投稿され、周辺地域は大混乱に陥りました。フェイクニュースを投稿した20代の男は偽計業務妨害の容疑で逮捕されています。

この事件では、災害という緊急時に虚偽情報が拡散したことで、動物園に問い合わせが殺到し、警察も対応に追われるなど深刻な業務妨害が発生しました。「冗談のつもり」「いたずら」では済まされない結果を招いた典型例といえます。

著名人への誹謗中傷事件

女子プロレスラーの木村花さんが2020年にSNSで受けた誹謗中傷について、母親の告訴により書き込みをした男性が書類送検されています。この事件は社会に大きな衝撃を与え、2022年の侮辱罪厳罰化のきっかけの一つとなりました。

2024年以降の傾向としては、侮辱罪の厳罰化後に摘発件数が急増しており、インターネット上の違法な書き込みへの捜査が強化されている状況にあります。

災害時の偽情報発信が特に危険な理由

地震・台風・洪水などの災害時に、SNSで偽情報を発信することは特に危険です。被害者が混乱している状況では偽情報が信じられやすく、救助活動の妨害、避難の混乱、物資不足の誘発など、甚大な二次被害を引き起こす可能性があります。

熊本地震でのライオン逃走デマでは、動物園に問い合わせが殺到し、警察も対応に追われるなど深刻な業務妨害が生じました。こうした事態を受け、警察庁は災害時のSNSデマへの法的対応を強化しています。

法的に問われやすいケースとしては、「被災地で略奪が起きている」「特定の食料品・物資が売り切れになる」などの虚偽情報の投稿(偽計業務妨害罪・信用毀損罪)、「義援金を集めている」と称した詐欺的な虚偽の支援情報の投稿(詐欺罪)、被災者の個人情報や救助要請を勝手に改変して拡散する行為(名誉毀損罪・偽計業務妨害罪)などが挙げられます。

2025年には日本経済新聞の報道で、災害時のSNS偽情報に対して収益停止措置を取るための法規制の検討が進んでいることが伝えられました。災害時の虚偽情報発信は、平時よりも厳しい目で捜査・処罰される傾向が強まっています。

生成AIによるフェイクニュースという新たな脅威

2024年以降、生成AIの急速な普及に伴い、フェイクニュース問題は新たな局面を迎えました。AIを使えば、本物そっくりの偽画像・偽動画(ディープフェイク)や、特定人物の声を模倣した偽音声が、専門知識なしに誰でも作成できるようになっています。

2024年7月の東京都知事選は、生成AIが本格的に活用された初の大型選挙として注目されました。この選挙では、候補者に関するフェイク情報や、AIが生成したと見られる偽動画が拡散し、有権者の混乱を招く事態が生じています。調査によれば、選挙期間中に接触した情報のうち「デマ情報を信じた」と答えた人の割合は51.5%に上るという報告もあります。

生成AIによるフェイクニュースに関しては、現行の名誉毀損罪や偽計業務妨害罪が適用される可能性がありますが、AIが自動生成した内容の発信者特定や、創作と虚偽情報の境界線をどう引くかなど、法的な課題が残っています。総務省はこうした課題に対応するため、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」において「Withフェイク時代」の対策議論を進めており、法整備や技術的対策の強化が急務となっています。

公職選挙法においても、生成AIを利用した候補者に関する偽情報の拡散は、選挙の公正性を損なう重大な問題として認識されています。2026年の参院選・衆院選にあたっては各プラットフォームとの連携強化や対策強化が進められており、AIが生成したフェイク動画や音声を使って特定候補者を貶める投稿を行った場合は、名誉毀損罪や公職選挙法違反に問われる可能性があります。

フェイクニュースを見分けるための実践的なポイント

自分が意図せずフェイクニュースを拡散してしまうリスクを避けるためには、情報を受け取る際の批判的思考(クリティカルシンキング)が欠かせません。

情報源の確認として、その情報がどこから来たのかを確認することが基本です。信頼できる公的機関(政府、自治体、公的機関)、大手メディア、学術機関などが発信しているかを確認しましょう。個人のSNSアカウントや、聞いたことがないウェブサイトの情報は慎重に扱う必要があります。

発信日時の確認も重要なポイントです。情報がいつ発信されたものかを必ず確認します。古い情報が「最新情報」として出回ることがあり、特に災害時や選挙時には、過去の情報が文脈を無視して拡散されるケースが多発しています。

複数情報源との照合として、1つのSNS投稿だけを根拠にするのではなく、複数の信頼できる情報源で同様の情報が報じられているかを確認します。情報の信頼性は、複数の独立した情報源で裏付けられて初めて高まるものです。

画像・動画の真偽確認として、画像や動画はGoogleの画像検索などを使って「逆画像検索」を行うと、過去に別の文脈で使われた画像が流用されていないかを確認できます。AIによって生成されたディープフェイク画像・動画は年々高度化していますが、不自然な指の形、光の当たり方の不自然さ、輪郭のぼやけなどの特徴が見られることがあります。

感情を煽る内容への注意も必要です。強い怒り、恐怖、驚きなど感情を強く刺激する内容は、フェイクニュースに多い特徴です。「信じられない」「拡散必須」「緊急」などの言葉を使って拡散を促す投稿には特に注意が必要です。

ファクトチェック団体の活用も有効です。日本には「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」などのファクトチェック専門団体があり、話題の情報の真偽を検証した結果を公開しています。疑わしい情報については、こうした機関の検証結果を参照する習慣をつけることが大切です。

総務省も「インターネット上の安全・安心ハンドブック」などを通じてフェイクニュース対策の啓発を行っており、政府広報オンラインでも偽情報・誤情報への注意喚起が継続的に行われています。

法的責任を問われないための行動指針

SNSを利用する上で、嘘ニュースの発信・拡散による法的責任を問われないためには、いくつかの行動指針を心がけることが重要です。

情報を発信・拡散する前の確認として、その情報が事実であると確信できない限り、発信・拡散しないことが基本原則です。「もしかしたら本当かも」というレベルでは不十分で、特定の個人や企業について否定的な情報を発信する場合は、特に慎重に確認する必要があります。

感情的な状況でのSNS使用の自制も大切なポイントです。怒りや興奮している状態でのSNS投稿は冷静な判断ができず、問題のある投稿をしてしまうリスクが高まります。感情が高ぶっているときは、投稿を一時保留することを習慣にするとよいでしょう。

削除・訂正の対応として、誤った情報を発信してしまった場合は、速やかに削除し、間違いがあったことを認める投稿をすることが重要です。問題が大きくなる前の早期対応が被害を最小限に抑えることにつながります。

弁護士への相談として、もし誰かからSNS投稿について法的責任を追及されそうな状況になった場合は、早急に弁護士に相談することが推奨されます。適切な対応を誤ると、問題が拡大する可能性があります。

企業・組織がフェイクニュース対策で取るべき行動

企業や組織も、自社に関するフェイクニュースの被害を受ける可能性があります。情報の発見を早めるためのSNSモニタリング体制の整備、迅速な公式声明の発表による誤情報の打ち消し、法的措置の準備(弁護士との連携)、社員へのSNS利用ガイドラインの周知といった対策を事前に講じておくことが重要です。

フェイクニュース被害を受けた場合は、放置せず早期に対応することが信用を守る上で不可欠となります。被害が拡大してから対応を始めると、すでに広範囲に情報が拡散しており、回復が困難になるケースが多くなります。

SNSプラットフォーム側でも、フィルター機能の改善、虚偽情報へのラベリング(ファクトチェック結果の表示)、悪質なアカウントの停止といった対策が実施されています。2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、大規模プラットフォーム事業者はより積極的に問題のある投稿に対応することが求められるようになりました。

AIによるフェイクニュースの自動生成・大量拡散という新たな問題も深刻化しており、2026年以降のデジタルリスクとして専門家が警鐘を鳴らしています。AIが生成した偽情報を効率的に検知・削除するための技術開発と法整備が急務となっています。

SNSの嘘ニュース発信リスクについてよくある疑問

SNSにおける嘘ニュースの発信リスクに関して、多くの人が抱える疑問について整理しておきます。

「リツイートしただけなら本当に罪に問われないのか」という疑問に対しては、状況によっては罪に問われる可能性があるというのが回答です。虚偽情報を拡散する行為は、新たな発信行為とみなされ得るためです。

「匿名アカウントなら特定されないのか」という点については、発信者情報開示請求の仕組みにより、匿名であっても特定される可能性があります。情報流通プラットフォーム対処法の施行により、特定までの時間も大幅に短縮されました。

「冗談のつもりだったら罪にならないのか」という認識については、刑事責任は発信者の主観だけで判断されません。客観的に虚偽情報の発信・拡散と認定されれば、冗談であっても罪に問われる可能性があります。

「削除すれば責任を免れるのか」という点については、削除しても発信・拡散した事実は残ります。スクリーンショットなどの証拠が保存されている可能性があり、削除しただけで責任を免れることは困難です。ただし、早期の削除と訂正は、損害賠償額の算定において考慮される場合があります。

まとめ:SNSで嘘ニュースを発信するリスクと向き合うために

SNSで嘘ニュースを発信・拡散することは、単なるモラルの問題ではなく、刑事罰(名誉毀損罪・侮辱罪・偽計業務妨害罪・信用毀損罪など)と民事上の損害賠償責任という具体的な法的リスクを伴います。罰則は最大で3年以下の懲役または50万円以下の罰金、慰謝料は被害者の属性によって数十万円から数百万円規模、企業相手では数千万円規模に達する可能性があります。

2022年の侮辱罪厳罰化、2025年の情報流通プラットフォーム対処法の施行により、SNS上の偽情報発信への法的対応は年々強化されています。「匿名だから大丈夫」「拡散しただけだから」という考えはすでに通用しません。発信者情報開示請求の仕組みにより、匿名での投稿者も特定される可能性が高く、特定までの期間も短縮されてきました。

SNSを利用する際には、情報の真偽を確認し、感情に流されず、責任ある発信・共有を心がけることが重要です。不確かな情報を見かけた場合は、安易に拡散せず、まず信頼できる情報源で確認する習慣をつけましょう。

デジタル社会において情報の真偽を見極める「情報リテラシー」は、現代を生きる上での必須スキルとなっています。フェイクニュースの問題は社会全体の問題であり、一人ひとりが責任ある情報行動をとることが、健全なデジタル社会の実現につながります。一度の軽率な投稿が人生を大きく変えてしまうリスクを十分に認識し、慎重なSNS利用を心がけたいものです。

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