地下街や地下鉄で楽天モバイルの電波が入らず、困った経験を持つ人は少なくありません。実際のところ、地下での繋がりやすさは2024年のプラチナバンド導入をきっかけに年々改善しています。この記事では、楽天モバイルが地下で繋がりにくいと感じられてきた理由を整理したうえで、今すぐ試せる改善方法と、通信会社側が進めている整備の最新状況を2026年8月時点でまとめます。

楽天モバイルが地下で繋がりにくいのは電波の周波数特性が主な原因
地下空間は、地上のどんな建物よりも電波が届きにくい場所です。基地局から発射された電波は、コンクリートや鉄骨、土壌を通過するたびに大きく減衰し、地下鉄の駅構内やトンネル、地下街、ビルの地下フロアのような複雑な構造の中では反射を繰り返しながら弱まっていきます。通信の瞬断や速度低下、圏外表示が起きやすくなるのは、この物理的な現象が原因です。
これはどのキャリアにも共通する事情ですが、楽天モバイルは後発として自社基地局の整備を進めてきた経緯があり、他社と比べて地下や屋内でのカバー率が相対的に低いと感じられる場面がありました。加えて、楽天モバイルが主力としてきた1.7GHz帯は周波数が高めで、建物内や地下への浸透力という点では、ドコモやau、ソフトバンクが古くから持つ700から900MHz帯の「プラチナバンド」に劣る面があります。電波は周波数が低いほど障害物を回り込みやすく、逆に高いほど直進性が強くなるため、この差がそのまま地下での繋がりやすさの差になっていました。
プラチナバンドの提供は2024年6月に始まり2026年も拡大が続く
楽天モバイルは2024年6月27日から、700MHz帯のプラチナバンド(Band28)の商用サービスを開始しました。当初は東京都心部の一部エリアに限られていましたが、2026年に入ってからも関東都市部を中心に対応エリアの拡大が続いており、今後は全国の主要都市へと広がっていく計画です。プラチナバンドは建物内や地下に電波が届きやすいという特性を持つため、この帯域の整備が進むエリアほど、地下での繋がりやすさが体感的に改善していくと見込まれています。
ただし2026年8月時点でも、プラチナバンドの詳細な対応エリアは公式に個別公開されていません。自分の生活圏がすでに対応しているかどうかは、公式のエリアマップや電波状況確認機能で確かめる必要があります。またプラチナバンドの恩恵を受けるには、端末側がBand28に対応している必要があり、iPhoneなら6シリーズ以降、Androidなら2015年以降に発売された国内向けモデルの多くが対応しているとされています。古い端末や海外向けのSIMフリー端末では対応していないケースもあるため、心配な場合は事前に対応バンドを確認しておくと安心です。
auのパートナー回線は2026年9月30日で提供終了の予定
楽天モバイルは自社回線が届かないエリアを補うため、KDDIの回線を借りる「パートナー回線」の仕組みを使ってきました。地下や山間部のように自社回線が弱い場所では、このパートナー回線に自動的に切り替わることで通信を確保してきた経緯があります。ところが、このKDDIとのローミング契約は2026年9月30日で提供期間が終わる予定です。記事執筆時点では、10月以降に完全終了となるのか延長されるのかは両社協議中で確定していません。
仮に終了した場合、自社回線の整備がまだ十分でない地下や屋内、地方エリアでは、これまでパートナー回線が担ってきた分の通信品質が下がり、圏外や繋がりにくいと感じる場面が増える可能性があります。KDDI側の経営陣からも、パートナー回線について当初の役割は終えたという趣旨の発言が出ており、ローミング終了に向けた動きは着実に進んでいるようです。地下の通信環境を気にする人にとって、このローミング終了問題は今後も注視すべき点といえます。
基地局は全国35,108局、人口カバー率は99.9%に到達
楽天モバイルは基地局の増設にも力を入れてきました。2026年3月末時点で、全国に合計35,108局の5G屋外基地局を展開しており、さらに約10,661局分の設置計画が動いていました。楽天回線エリアの人口カバー率はすでに99.9%に達しており、数字の上では全国のほとんどの地域をカバーしています。
ただし人口カバー率は、あくまで地上の面的なカバー状況を示す指標です。地下や建物内部の屋内浸透の品質を直接示すものではない点には注意が必要です。とはいえ基地局が増えて面的なエリアが広がるほど、地下への電波の回り込みや、地下の中継アンテナに接続する基地局自体の電波品質も上がるため、間接的には地下の通信環境の改善にもつながっています。
東京地下鉄は主要区間の95%で対策完了、大阪と名古屋は2027年目標
地下での通信品質改善に直結する取り組みとして進められてきたのが「東京地下鉄強化計画」です。楽天モバイルは東京メトロと都営地下鉄を対象に、駅のホームだけでなく走行中のトンネル内も含めた通信品質の強化を段階的に進めてきました。単にアンテナを増やすだけでなく、基地局が使う帯域幅そのものを従来の5MHz幅から20MHz幅へと4倍に広げる工事を行い、同時に接続できるデータ量を増やして、混雑時でも速度が落ちにくいネットワークへと作り替えています。
2026年3月末時点で、東京メトロ全9路線のうち約95%の区間で帯域拡張が完了しており、駅構内と走行中の車内の両方で通信が可能な状態になっていました。残る約5%の区間についても、2026年7月末までの完了を目指す計画が示されており、記事執筆時点(2026年8月)ではすでにその目標時期を過ぎています。東京の地下鉄利用者にとっては、着実に電波環境が改善してきた実感が持てる時期に入っているといえるでしょう。首都圏での対策が一段落したあとは、大阪や名古屋といった大都市の地下鉄網にも同様の強化が展開される計画で、こちらは2027年中の完了が見込まれています。
| 対象エリア | 進捗状況 | 完了目標 |
|---|---|---|
| 東京メトロ・都営地下鉄(主要区間) | 帯域拡張が完了 | 2026年1月末 |
| 東京メトロ・都営地下鉄(全体) | 約95%が完了、残り約5%は進行中 | 2026年7月末 |
| 大阪・名古屋の地下鉄網 | 今後展開予定 | 2027年中 |
都営地下鉄についても同様の強化計画が進んでおり、東京以外の主要都市の地下鉄でも今後同様の取り組みが広がっていく見通しです。楽天モバイルの矢澤俊介社長は、こうしたネットワーク改善戦略について、繋がりやすさでもナンバーワンを目指すという方針を示しており、投資は今後も続いていく見通しです。
地下で繋がらないときにすぐ試せる8つの対策
キャリア側の整備には時間がかかりますが、利用者側の工夫で地下での通信状況を良くできる場合があります。すぐに試せる方法を、優先度の高い順に紹介します。
開口部に近い場所へ移動すると電波が安定しやすい
地下空間では、壁や柱に囲まれた場所ほど電波が遮断されやすくなります。一方で、地上とつながる階段やエスカレーター、換気口の近くのような開口部に近い場所は、地上からの電波が届きやすく、比較的安定する傾向があります。電波が悪いと感じたら、まず周囲を見渡して、天井が高く開けたスペースに移動してみましょう。
フリーWi-Fiに切り替えれば通信自体は安定させられる
地下街や地下鉄駅、商業施設の多くは独自のフリーWi-Fiを提供しています。モバイル回線の電波が弱い場所では、こうした施設のWi-Fiに接続することで通信を安定させられます。地図アプリや動画視聴、メッセージアプリはWi-Fi接続に切り替えるだけで快適に使えることが多いです。
Rakuten LinkはWi-Fi経由でも通話品質を保てる
楽天モバイルの通話は、専用アプリのRakuten Linkを使うことでデータ通信経由の通話が可能になります。地下でモバイル回線の音声品質が不安定なときも、Wi-Fiに接続してRakuten Linkを使えば、通話の途切れを軽減できる場合があります。地下鉄駅や商業施設のフリーWi-Fiと組み合わせるとよいでしょう。
自動切り替え設定をオフにすると安定するケースがある
Wi-Fiアシストや自動切り替え機能がオンになっていると、Wi-Fiとモバイル回線が頻繁に切り替わり、かえって通信が不安定になることがあります。地下でつながりにくいと感じたら、自動切り替え系の設定を一時的にオフにして、どちらか一方の回線に固定してみてください。機内モードのオン・オフを一度行うだけでも、端末が基地局を再検索し、圏外表示が解消することがあります。
端末の再起動やSIM抜き差しで圏外表示が解消することがある
一時的な通信不良であれば、端末の再起動やSIMカードの抜き差しで改善することがあります。特に地下から地上に移動した直後に電波表示が更新されない場合、この方法が有効です。
オフライン地図の準備で通信不安定時の不便を減らせる
地下鉄や地下街での移動が多い場合は、事前に目的地までの地図をオフラインでダウンロードしておく、必要な情報をあらかじめメモしておくといった準備も、通信が不安定な状況での実用的な対策になります。
対応端末の確認でプラチナバンドの恩恵を受けられるかがわかる
プラチナバンド(Band28)に対応していない端末では、その恩恵を受けられません。海外で購入したSIMフリー端末や古い機種を使っている場合は、対応バンドを事前に確認しましょう。必要であれば対応端末への機種変更を検討すると、地下も含めた全体的な電波状況の改善につながります。
公式のエリア確認機能で自分の生活圏の電波状況を事前に把握できる
楽天モバイルの公式サイトやアプリのエリア確認機能を使うと、よく利用する場所の電波状況をあらかじめチェックできます。引っ越しや行動範囲の変化があったときは、事前に地下施設周辺のエリア状況を確認しておくと、想定外の繋がらない場面を減らせます。
プラチナバンド拡大と屋内アンテナ増設で改善が続く見通し
利用者側の工夫に加えて、キャリア側の継続的なネットワーク投資が、地下での通信品質を底上げする鍵になります。プラチナバンドの全国展開や基地局の増設、東京地下鉄強化計画に加えて、楽天モバイルは今後も関東都市部から全国の主要都市へとプラチナバンド提供エリアを順次広げていく方針を示しています。地下鉄以外にも、地下街や大型商業施設、地下駐車場といった屋内施設への電波強化策が、通信インフラ整備の一環として進められていく見通しです。整備の進捗は公式サイトやニュースで定期的に確認しておくと、自分の生活圏がいつごろ改善されるかの目安がつかめます。
Rakuten Casaとレピーターで自宅や職場の地下も改善できる
地下鉄や地下街のような公共施設だけでなく、自宅の地下室やビルの地下階にあるオフィスのように、個人が管理する屋内空間で電波が弱い場合には、屋内用の小型基地局やレピーターを使う方法もあります。代表的なのが「Rakuten Casa」と呼ばれる屋内向け小型基地局で、自宅のインターネット回線に接続することで、建物内に独自の電波エリアを作り出す仕組みです。屋外の基地局からの電波が届きにくい地下室やコンクリート造りの建物内でも、Rakuten Casaを設置すれば安定した通信環境を作れる場合があります。レピーターは、屋外や別の場所で受信した電波を増幅して屋内に中継する機器で、こちらも奥まった部屋や地下フロアでの電波改善に役立ちます。地下の自室や職場で楽天モバイルが繋がりにくいと感じる頻度が高いなら、こうした屋内対策機器の導入を検討する価値があります。対象エリアや利用条件、費用は公式サイトで確認しておきましょう。
ピコセルによる地下駅・商業施設のピンポイント対策
地下鉄駅構内や大型の商業施設、地下街のような公共性の高い空間では、キャリアが「ピコセル」と呼ばれる小型基地局を設置し、ピンポイントで電波を補強する手法が広く使われています。楽天モバイルもこうした小型基地局や中継アンテナの整備を各地で進めており、サービス開始当初と比べると、地下駅や地下街での通信品質が大幅に上がっている地域が増えてきました。プラチナバンドの運用がさらに広がれば、周波数特性上、トンネル内や地下深くまで電波が届きやすくなると見込まれ、今後はピコセルによるピンポイント整備と、プラチナバンドによる面的な浸透力の向上という両方の取り組みが、地下の通信環境改善を後押ししていくと見られます。
Sub6帯の増強が地下の混雑対策を後押しする
地下や屋内の通信品質改善というと、電波が回り込みやすいプラチナバンドの話題が中心になりがちですが、楽天モバイルは高速大容量通信を支えるSub6帯(4.9GHz帯)についても、総務省から追加の周波数割り当てを受けて整備を進めています。Sub6帯は直進性が強く障害物に弱いという弱点がある一方、非常に広い帯域幅を確保できるため、駅構内や地下街のように多くの人が同時に接続する混雑エリアでの通信容量を底上げする役割を担います。地下で繋がりにくいと感じる原因には、電波そのものが届いていない圏外的な状況だけでなく、電波は届いていても利用者が集中して回線が混み合う輻輳の問題も含まれます。プラチナバンドが電波の届きやすさを、Sub6帯の増強が容量の余裕をそれぞれ補い合うことで、地下や屋内における通信品質は総合的に底上げされていく見通しです。
改善しない場合は電波改善・調査依頼フォームで相談できる
自分でできる対策を一通り試しても、地下や自宅の特定の場所で電波が改善しない場合は、楽天モバイルの公式サポートに相談する方法があります。楽天モバイルは、電波に関する困りごとや意見・要望を受け付ける「電波改善・調査依頼」専用フォームを用意しており、端末やSIMに問題がなく、データ高速無制限エリア内であるにもかかわらず特定の場所で繋がりにくい場合には、状況を具体的に伝えることで調査対象として検討してもらえます。圏外が続く場合の基本的な確認事項として、SIMカードは接触不良や汚れで通信不良を起こすことがあるため、一度端末から取り外して金属端子部分に汚れや傷がないかを確認したうえで挿し直すのも有効な対処法です。公式アプリのチャットサポートからも電波状況について相談できるため、地下での通信トラブルが繰り返し起きる場所があるなら、一度問い合わせてみるとよいでしょう。多くの利用者からの改善要望が集まれば、キャリア側の基地局増設やアンテナ配置の優先順位付けに反映される可能性もあります。
衛星通信サービスは地下の圏外解消にはならない
楽天モバイルは、低軌道衛星を使った衛星通信サービスの展開も進めています。米国のAST SpaceMobile社と協業し、市販のスマートフォンと衛星が直接通信する仕組みの実証実験を行っており、2025年4月には福島県と東京都の間で市販スマートフォン同士のビデオ通話に成功したと発表しました。将来的には「楽天最強衛星サービス」として、山間部や離島のような従来は圏外だったエリアでもスマートフォンがそのまま使えるサービスとして、2026年第4四半期の全国展開が計画されています。スペースXのスターリンクに対抗する形で、海外勢に依存しない独自の衛星通信網を構築する構想も報じられています。
ただしこの衛星通信サービスは、空が見える屋外の圏外エリアを対象とした技術です。地下や地下鉄トンネル内、建物の奥まった空間のように、衛星の電波そのものが物理的に届かない場所では機能しません。地下での繋がりやすさを改善する解決策としては、ここまで解説してきたプラチナバンドの展開や基地局・アンテナの増設、Rakuten Casaなどの屋内対策が中心であり、衛星通信サービスはあくまで屋外の山間部・離島対策として理解しておく必要があります。
2026年の口コミでみる改善傾向と残る課題
実際の利用者の声からも、楽天モバイルの電波環境は近年着実に改善してきたことがうかがえます。基地局は2024年以降急ピッチで増設が進み、2025年9月時点で全国の基地局数は約60,000局に到達しました。人口カバー率もすでに他の大手キャリアと同水準の99.9%を達成しています。2024年6月のプラチナバンド提供開始以降は、建物内や地下での電波状況が良くなってきたという評価が広がっています。
一方で、口コミの中には今も「都心の建物内に入ると電波が来ない」「地下での電波が不安定」という声が見られ、屋内や地下での通信品質にはまだ改善の余地が残っています。利用者からの要望としては、電波が不安定な場所を解消してほしい、どこでも同じように使える安心感がほしいといった声が多く挙がっており、キャリア側もこうした声を踏まえてネットワーク投資を続けている状況です。楽天モバイルへの乗り換えを考えているなら、自宅や屋外では快適に使えても地下や建物内では他社より電波が弱くなる場面があり得るという前提を持ったうえで、自分がよく利用する地下施設や建物の電波状況を事前に確認し、料金メリットとあわせて判断するのがよいでしょう。
楽天モバイルの地下の繋がりやすさは電波整備とユーザー対策の両輪で改善
楽天モバイルが地下で繋がりにくいと言われてきた背景には、後発キャリアゆえの基地局整備の途上段階や、プラチナバンド未展開だった期間の周波数特性、地下空間特有の電波減衰という複数の要因が重なっていました。しかし2024年6月のプラチナバンド提供開始以降、対応エリアは着実に広がっており、2026年に入ってからも基地局増設や東京地下鉄強化計画といった具体的な取り組みが進んでいます。2026年3月末時点で東京メトロ全線の約95%の区間で対策が完了しているなど、地下鉄利用者にとっての改善は着実に進んできました。一方で、2026年9月末に予定されているKDDIとのローミング終了は、自社回線の整備が追いついていないエリアに影響を及ぼす可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。
利用者側でできる対策としては、電波の入りやすい場所への移動やフリーWi-Fiの活用、Rakuten Linkアプリの利用、通信設定の見直し、端末のバンド対応確認、公式エリア確認機能の活用などが挙げられます。これらを組み合わせれば、キャリア側の整備が完了するまでの間も、地下での通信ストレスをある程度減らせるでしょう。楽天モバイルへの乗り換えを検討している人は、自分がよく利用する地下施設や地下鉄路線の整備状況を事前に確かめたうえで、今回紹介した改善方法もあわせて試してみてください。




