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- 2026.11.07
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XPPenの液晶ペンタブレット「Artist 12 3rd」は、国内外のレビューで、税込2万9980円でも絵を描く道具として十分という評価が目立つ入門機です。16384レベルの筆圧検知や約719gの軽さ、USB-Cケーブル1本で済む接続が好評で、主な不満はフルHD止まりの解像度やペンスタンドが付属しない点などです。
液晶ペンタブレットとは、液晶画面に直接イラストや漫画を描き込めるタブレットのことで、略して「液タブ」と呼ばれます。Artist 12 3rd(アーティスト12サード)はその小型モデルにあたり、11.9型のIPSパネルに1920×1080の解像度を組み合わせています。3万円を下回る価格で、新しいペンとダイヤル式のショートカットキーを載せてきたのがこの世代の特徴です。
Artist 12 3rdの口コミで目立つのは2万9980円に対する性能の高さ
レビューでまず目につくのは、値段と中身の釣り合いへの評価です。週刊アスキーは、2万9980円の価格で筆圧検知、傾き検知、見やすい液晶という、絵を描くのに欠かせない要素をきちんと押さえている点を評価しました。3万円を切ってこの性能なら人に勧めたい、お絵描きを始める1台にちょうどいい、という趣旨の感想もあります。
海外でも反応は近く、Creative Bloqは見出しで「価格以上のペン技術」とうたいました。Wacom One 12と比べて、Artist 12 3rdのほうが軽く、接続も簡単で、コストパフォーマンスに優れるとするレビューもあります。
X4スマートチップスタイラスの筆圧は前世代の2倍の16384レベル

付属ペン「X4スマートチップスタイラス」は、この製品の評価を支える中心部分です。ひとつ前のモデルであるArtist 12 2nd Genが読み取れた筆圧は8192レベルで、3rdはその2倍にあたる16384レベルに対応しました。
XPPenは、X4チップで処理能力が上がり、応答速度と感度、精度が向上したと説明しています。Creative Bloqはさらに具体的で、X3チップを積んだ旧ペンと比べると、ペンが反応しはじめる力は小さくなり、描き始めの1本目が出るまでの応答は30msまで短くなったと紹介しました。実際に使った個人ブログのレビューでも、描き心地はなめらかで、筆圧の感知は前世代から大きく良くなったと書かれています。
筆圧レベルと最小ON荷重は数字の意味を知ると比べやすい
筆圧レベルとは、ペンが読み取れる筆圧の段階の数です。この数が大きいほど、押す力のわずかな違いを拾えるので、線の太さや濃さを細かく調整できます。
最小ON荷重は、ペン先を押し込んだときに筆圧の検知が始まる最小の力を指します。この値が小さければ軽いタッチも拾えるので、描き味が紙に近づきます。本機の値は2gで、軽く当てるだけでも反応します。
充電のいらないEMR方式はペンを軽く細くできる
EMR(Electro-Magnetic Resonance)は、電磁誘導を利用してペンの位置と筆圧を割り出す方式です。ペンの内部にはコイルとコンデンサが共鳴用に組み込まれており、タブレットのコイルから届いたエネルギーで動いて、位置と筆圧のデータをタブレットへ送り返します。ペン自体が電源を持つ必要がないため、充電切れを気にせず長時間描けます。ペンを軽く細く作れること、細かな筆圧を検知しやすいことも、この方式の利点です。
傾き検知±60度で線の表情をペンの角度だけで変えられる
傾き検知は、ペンをどれだけ傾けたかをタブレットが読み取る機能です。60度まで対応する製品は複数あり、Artist 12 3rdも±60度に対応しています。XPPenによると、ソフトでブラシの向きを繰り返し設定しなくても、ペンの傾きに応じて線が自然に変化します。傾きに合わせてブラシの形や濃淡を変える描き方で使われる機能です。
画面の色域はsRGB 99%で、イラストや軽い写真編集には十分という評価

画面については、Creative Bloqが色の正確さと明るさを、イラスト、デザイン、軽い写真編集なら十分にこなせる水準だと評価しています。色域のカバー率はsRGBが99%、Adobe RGBとDisplay P3がそれぞれ97%です。色の正確さを表すΔE(デルタE)は1.2未満ですが、この値はsRGBで測った平均値です。
sRGBとAdobe RGBとDisplay P3は得意な色がそれぞれ違う
3つとも、画面が表示できる色の範囲(色域)を決めた規格です。Display P3は、Appleが2016年に映画向けの規格DCI-P3をもとに定めた色空間で、sRGBの色をすべて含み、sRGBより約25%広い色合いを表現できます。緑や赤を鮮やかに見せるのが得意な規格です。
Adobe RGBとDisplay P3は、どちらかが一方を丸ごと包む関係にはなっていません。青緑や緑の一部ではAdobe RGBのほうが広く、黄緑から黄色やオレンジ、赤、マゼンタにかけてはDisplay P3が勝ります。
ΔEは値が小さいほど元の色に近い
ΔEは、2つの色がどれくらい違って見えるかを数字で表す指標です。基準となる色と画面に実際に出た色の距離を示し、値が小さいほど、もとの色に近いということになります。計算ではCIELABと呼ばれる3次元の色空間に色を点として置き、Lが明るさ、aとbが色相と彩度を担います。
目安としては、1未満なら2色の違いは目で見てもわかりません。1から2なら注意深く見ればわかる程度で、2から10になると一目で違いに気づきます。なお現在の業界では、人の色の感じ方に近い結果が出るΔE2000という計算式が使われています。
フルラミネーション構造で視差が小さい
視差は、ペン先と、画面上で線が引かれる位置(カーソル)が食い違う現象です。ワコムは、このずれを小さく抑えるほど紙に描く感覚に近づくと説明しています。Artist 12 3rdはガラスと液晶のあいだに隙間をつくらないフルラミネーション構造を採用しており、線がペン先の真下にきれいにそろうと好評です。
画面の表面は、映り込みを抑えるためのAGナノエッチングガラスで、その上に指紋の付着を防ぐAFコーティングも加えられています。AG加工(アンチグレア)は、ガラス表面に細かな凹凸を作って光の反射を散らす処理です。光の透過率を保ったまま、周りの景色や背後の照明の映り込みを目立ちにくくします。ペンタブレットのカバーガラスに使えば鉛筆に近い描き味が出せると説明する加工会社もあります。ガラスの表面自体に手を加える処理なので、上から塗る膜や貼るフィルムに比べて長持ちすると説明されています。ただし白く濁る度合い(ヘイズ)を高くすると、映り込みは減る代わりに画面がかすんだように見えたり、白っぽさが出たりする場合もあります。
AF(Anti-Fingerprint、防指紋)コーティングは、ガラスに指紋や油汚れを残りにくくするための、油と水をはじく膜を指します。表面張力が下がるので、水や油はガラスになじまず、粒になってはじかれます。膜の材料はフッ素系やシリコン系で、ごく薄く透明です。
IPSパネルは斜めから見ても色が変わりにくい
IPS(In-Plane Switching)方式の液晶パネルは、液晶の分子を画面と平行に回転させて、光がどれだけ通るかを制御します。視野角が広く、斜めから見ても色がほとんど変わりません。色を再現する力も高く、写真編集やデザイン向きです。弱みは、ほかの方式に比べて価格がやや高く、応答速度が遅めな点です。
約719gの軽さとUSB-Cケーブル1本の接続が好評
重さは約719gで、付属の折りたたみ式スタンドを使えば机に置いて描けます。スタンドについては、Digital Camera Worldが小さく折りたためることを長所に挙げました。
接続には、電源とデータ通信を1本でまかなえるフル機能のUSB Type-Cケーブルを使います。ケーブルが1本で済むので、机の上が配線でごちゃつきません。
2つのX-Dialと8つのショートカットキーは押し心地まで好評
Artist 12 3rdは、X-Dialと名付けられたダイヤル型のショートカットキーを搭載しています。本体には2つのダイヤルがあり、回すだけでキャンバスの拡大縮小やブラシの太さの調整ができます。これに加えて、本体の上下に4つずつ、合計8つのショートカットキーを好きな機能に割り当てられます。
海外レビューサイトのParkablogsは、ダイヤルの回転にはクリック感があり、ホットキーも確かな押し心地だと書いています。
Artist 12 3rdの気になる口コミはフルHDの解像度とスタンドまわり

不満として挙がる点は、解像度、付属品、スタンド、ペンの質感、画面サイズの5つです。
4Kの液タブほど細かい表示はできない
表示の細かさでは4Kの液タブに及ばないと、Digital Camera Worldが指摘しました。
ペンの置き場所は画面上部の磁気ストリップだけ
ペンを立てておくスタンドは同梱されていません。ペンは画面上部にある磁気ストリップにくっつけて保管します。
スタンドの角度は変えられない
個人ブログのレビューによれば、付属スタンドは傾きを変えられません。とはいえ、前の世代の機種よりは描きやすい傾きになったという感想も同じレビューに書かれています。
ペンの質感はWacomのPro Pen 3に届かない
Creative Bloqの評価では、グリップを調整できる仕組みや、手に伝わる確かな質感は、WacomのPro Pen 3ほどではありません。それでも、描き心地そのものは心地よいと書いています。
12インチの画面で描けるか不安という声
個人ブログのレビューでは、12インチという大きさで思うように描けるのか、やや心配だとする声もありました。広いキャンバスを使って細かい部分まで仕上げたい人にとっては、この画面の小ささが好みの分かれ目になります。
Artist 12 3rdの価格と機能はWacom One 12とHuionのKamvas 12のあいだ
海外のレビューは、Artist 12 3rdの価格と機能を、Wacom One 12とHuionのKamvas 12の中間あたりと見ています。画面の質感と色の正確さはWacomと近い水準とされています。ただし、ドライバーが長く安定して動くかどうかや、ブランドとしての完成度では、Wacomのほうが上という評価です。
比較相手のWacom One 12は、画面が11.6型です。接続はUSB Type-Cケーブル1本で、ドライバーなしでも基本の機能は動きます。CLIP STUDIO PAINT PROの3か月版がバンドルされています。
ドライバーを入れないと筆圧と傾きは働かない
ペンタブレットのドライバーは、タブレット本体と、パソコンのOSやアプリのあいだを取り持つソフトウェアです。ペンの座標だけならドライバーなしでも読み取れます。それ以外の筆圧や傾き、ペンについたボタンは、ドライバーを入れて初めて動きます。
日本限定版は税込2万9980円、ピンクモデルは税込3万6980円
XPPenが公式ストアでの販売開始を発表したのは2025年10月20日で、海外の発売価格は239.99ドルでした。同じ月にはPC Watchも発表を報じましたが、この時点で日本での発売時期は決まっていませんでした。
日本限定版が国内で発売されたのは2025年11月14日です。税込2万9980円で、ブラックとシルバーグレーの2色から選べます。専用パッケージに入り、イラスト入りのグローブとクリーニングクロスが付いてきます。
新色のピンクは2026年7月3日に登場し、XPPenの公式ストアのほか、Amazonと楽天市場店でも販売が始まりました。販売元は香港に本社を置くHANVON UGEE (HK) Technologyです。ピンクモデルは税込3万6980円で、メタリックなピンクとホワイトの配色をした専用のスタイラスペンが付属します。一方でビックカメラの商品ページの表示価格は税込4万1100円で、店ごとに価格が違うこともあります。
まとめ
XPPenのArtist 12 3rdは、3万円以下で買える入門向けの液晶ペンタブレットです。軽さと接続の手軽さが広く支持される一方、解像度やスタンドまわりが気になる点として挙げられています。初めての液タブを探している人や、持ち歩けるサブ機がほしい人に合うモデルです。
X-Dialと8つのショートカットキーでは足りないと感じたら、10個のボタンに好きな操作を割り当てられる左手デバイスも候補になります。液タブの横に置いて使えるので、XPPenの左手デバイスACK05の評判もあわせて読んでみてください。








